サハラに舞う羽根(洋画)The four feathers

投稿者: | 2021年10月14日
故ヒース・レジャー主演の映画。
映画館で観ました。ヒース・レジャーの映画では最も好きな映画。
19世紀末の大英帝国の1人の兵士の物語。

中世時代?が好き、ハリウッドのような大味な映画が嫌い、
という方に向いていますが、インディペンデント系というほど、
分かりにくいワケでもなく、見終わった後に
「意外に分かりやすかったな」と思える映画です。

父は将軍の若きエリート士官として仲間からの信頼も厚く、
美しい婚約者エスネ(ケイト・ハドソン)もおり、
幸せな人生を送ろうとしていた主人公ハリーに、
領土拡大の為、スーダンの反乱軍鎮圧の命が下る。
しかし、アフリカ侵攻への疑問から除隊し、
友人から“臆病者の証”である白い羽根を送られてしまい、
婚約者もまた彼の元を去ってしまうのであった。
そこへ、彼の元に友人たちの軍が壊滅寸前だとの知らせが入る…。

実際にはアフリカ侵攻への疑問から…ではなく、
訓練では良かったものの実戦は未経験で戦うのが怖くなった
というような描写に見えましたね。
無論、将軍である父には完全に失望され、
友人達も嘲笑。一番の親友であったジャック(ウェス・ベントレー)も
彼らに触発されて辛いながらも“白い羽根”を送ります。

戦争の期間も長く、ジャックはハリーと婚約を解消したエスネと
手紙のやり取りで恋愛へと発展させていきます。
一方で、全てを失ったハリーは自分が“臆病者”となってしまった証を
何よりも大切なお守りとして肌身離さず持ち、
友人を助ける為、一人スーダンへと旅立ちます。

ハリウッド映画も大好きなんですが、
この映画はそんな雰囲気が全く無かったです。
人によってはダラダラと長く感じ、眠くなってしまう可能性もありますが、
ただただ、この3人の演技が上手く、行く末が気になって食い入るように観ましたね。

普通の英国兵士としてではなく、
強制労働者に紛れ込み、ドロドロになっていきながら、
現地の原住民アブー(ジャイモン・フンスー)に認められ
奇妙な友情まで築き、彼の助けを経て、ついには戦地にたどり着き、
バラバラになった友人達を一人ひとり助けていく。

臆病者とレッテルを貼り、今後は決して会う事もないだろうと見下した
元友人が死に掛けている自分を助ける為だけに、果てしない距離を
たった一人で来てくれた、その再会シーンは、どれも目頭が熱くなりましたね。

特にジャックとの再会のシーンは思い出しても鳥肌出ます^^;
彼自身も、親友のハリーが「臆病者のはずがない」と信じたい部分と
ハリーが実際に除隊した事実、侮蔑の気持ち、
そして親友の元婚約者と恋仲になったこと、
そんな揺れ動く心を非常に繊細に表現出来ている上手い役者さんでした。
だからこそ、戦地での再会(ある理由でそうとは言い切れない)シーンと
その後、ジャックがハリーを訪ねるシーンが光ったんですね。

実は、これがヒース・レジャーを知るキッカケになった映画だったんですが、
戦争が心底怖くて逃げ出したこと、全てを失ってしまったこと、
もらった羽根を絶対に返しに行くこと、
それが決して無くしたくない大切なものであること、
その強い気持ちを言葉に出さず、黙って心に秘め、
そして、友人達との再会を必ず果たすこと。
それらを簡潔に表現するのではなく、
まるで観る者の心にじわじわ染み入るかのような演技で
この作品だけで一気にファンになってしまったことを覚えています。

ジャックとの再会とその後は、遠まわしな表現がむしろすごく熱くさせるので、
観るか観まいかと悩んでいる人には是非観て欲しいですね。

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